2017年センター生物講評
2017年センター生物の講評です。
著作権がありますので、問題を画像としてはあげません。
検索すればすぐに手に入るので手元において、自分で解いてから見てください。
感覚としては、どれも非常に基本的な問題のセットでした。
第2問の問4問5だけが少しだけ訓練を要するような問題かな。
難しい「実験・考察問題」は存在せず、「純粋な実験・考察問題」(高校生が完全に初見だと思われるもの)は第4問の問1だけなのではないか。
ほとんどが「実験・考察」のような形式をとっているだけの「知識問題」です(これは二次試験にも似た傾向があります)。
教科書に書いてあることをどれだけ忠実に、正確に理解しているかが問われています。
高校生は学校の授業を基本に、教科書をしっかり読んでください。何度も、何度も。
第1問
A リード文の中に「内分泌腺」や「ホルモン」といった言葉があるので、受験生は身構えたのではないだろうか。実際には生物基礎との融合では無かったが、内分泌腺とホルモンは二次試験にもよく出るのでしっかりと確認しておくこと。
問1 タンパク質について、である。「生物」の教科書ではタンパク質の性質と構造に多くのページが割かれている(数研出版さん、第一学習者さん共に6ページぶん)。ここの部分をしっかりと勉強しておけば、まったく難しくはなかったと思うが・・どうだろうか。
問2 ペプチドホルモンとステロイドホルモンの違いについて。細胞膜の通過の可否でまず①②が削られるが、③④は選ぶのが難しかったかもしれない。シグナル伝達は図を描いて、「流れ」を説明できることが大切だ。欲張れば「カスケード」の概念も知っておくと良いかもしれない。
問3 これはおそらく消去法で選ぶだろう。①②はありえない。そもそもリード文に「同一個体の体細胞は同じゲノムを持っている」と記載してくれている。④のオペレーターはオペロン説でおなじみ。オペレーターは原核細胞のみ持っている。
問4 誤った選択肢の内容がぐちゃぐちゃなので、頭が混乱するが、①③は「転写調節領域」が「転写」を調節していないのだ。どちらも「転写後」の話をしている。②は調節遺伝子の話であることはすぐにわかるはず。
問5 転写調節領域としてBとCがあるが、実験では調節タンパク質DとEの存在で考えているので、「Dがあるとどうなるか」「Eがあるとどうなるか」「DとEがあるとどうなるか」を考えれば良い。この問題を間違ったとすると、「生物の長い問題文を読む」訓練が足りていない。
第2問
問1 神経管、角膜、水晶体は外胚葉由来。そもそも④の原口背唇部の説明があまりに基本的なのですぐに選べるのではないか。
問2 突然変異体マウスXでは水晶体が形成されない、という記述から「なぜ形成されないのだろう?」と考えながら実験結果を見る。基本的には「誘導する能力が欠けている」か「誘導を受け取る能力が欠けている」かのどちらかだが、WとXの組み合わせからすぐに導けるだろうか。
問3 ES細胞を出しているのはなかなか目をひくが、単なる誘導の問題。
問4 単に体細胞はゲノムが2nであり、減数分裂後はnになるというだけの問題ではあるが、染色体の本数の数え方は微妙なところがある気がする。(つまりどこまでを1本と数えるかということ)
問5 胚乳の遺伝は3nであることを知っているかどうかだが、この手の問題を解いたことがないと苦しい。遺伝の計算問題はやはり訓練しておくべきか・・。
第3問
問1 自律神経についてはよく扱うため、体性神経という言葉は手薄になりやすいが基本的な用語問題。
問2 全ての選択肢に、記述においての誤りがない。「有髄神経線維の方が、活動電位の電導速度が速い」理由として③を選ぶことになる。跳躍電導の説明である。
問3 シナプスの化学的伝達における、基本的な用語問題
問4 ジベレリンと発芽の関係は基本事項。
問5 リード文を見ると「660nm」付近の光と、「730nm」付近の光によってフィトクロムが変化することがわかる。当然、図1のグラフもこの2つの波長の部分を見ることになる。グラフは漫然と眺めるのではなく、情報を拾うために意識的に特徴を探すこと。
問6 実験のパターンから素直に選ぶ。
第4問
問1 この実験は面白い。受験生も楽しみながら解けたのではないか(そんな余裕は本番にはないかもしれないが)。「水に向かっていく」ことと「水があったら飛び込む」ことがどう違うのかを判断することが大切。
問2 図3と選択肢の記述を丁寧に見比べていく。⑦の「エネルギーの流れを変える」という表現はとっつきにくかったかもしれない。⑧の「川では生産者となった」という言葉に引っかかった受験生は割といるような気がする。生産者とは無機物から有機物を作り出す生物のことである。
問3 攪乱の定義が文章中にあるので、あてはまるものを選ぶ。
問4 種間競争の定義が文章中にあるので、あてはまるものを選ぶ。
問5 中規模攪乱説の基本的な説明そのままである。
第5問
問1 地質時代の問題である。このように知識問題としてよく出題されるので、嫌がらずにしっかりと覚えておく必要がある。
問2 aとbの条件をあてはめていく。主語が「ハツカネズミ(未知)」のaよりも「キリン(既知)」が主語のbから考えた方がスムーズに当てはまる。ハネジネズミの横にハツカネズミを置いた受験生はまさかいないと思うが・・。
問3 イチョウは裸子植物ということを知っていればできる。
問4 素直に「A」が何個で「a」が何個になって、その結果頻度は・・と計算すればなんてことはないのだが、公式のようなもので覚えているとドツボにハマるかもしれない。遺伝子頻度というのがそもそもどのようなものか、を正しく理解必要がある。
問5 基本的な用語問題。
問6 4つの選択肢の中で1つだけ異質なやつがいるので、そいつを選ぶことになる。
第6問
問1 メセルソンとスタールの半保存的複製の実験。めんどくさがらず、素直に図を描いて考えることが、ケアレスミスをなくしてくれる。
問2 密度勾配遠心法を用いているが、単に細胞小器官の特徴を問う問題。
第7問
問1 どれも基本的な生物だったので、選べたのではないだろうか。選択肢①~⑥に該当する生物名は少なくとも1つはあげられるようにしておくべきだ。
問2 基本的な用語問題
問3 ヒトデはウニと同じ棘皮動物。よって、ウニと同じ発生の様式をとる。
以上。
勉強頑張ってくださいね。いつでも応援してます。