【高校生物】生体内のタンパク質の役割を解説
遺伝情報とタンパク質
遺伝子は何の設計図なのか?
ビードルとテータムによるアカパンカビの実験によって、「遺伝子はタンパク質の設計図」であることがわかった。
遺伝子によってわざわざ設計図として渡されるタンパク質。
おそらくタンパク質は生体の中で重要な機能を持っているに違いない。
生体ではたらくタンパク質
授業では実際に、「いま触れるところで、タンパク質ではないところを触ってみてください」という指示を出す。
ここで生徒が触るのは自分の「髪の毛」「爪」「歯」のおよそどれかだ。
しかし、「髪の毛」はその大部分をケラチンというタンパク質が占める。
多くの人はヘアーアイロンを用いて、髪の形を変えるだろう。(僕は使ったことがないが)
あの高温の棒を髪の毛に当てたとき、温度によるタンパク質の変性が起こる。
タンパク質の変性によって、髪の毛の癖を変更しているのだ。
同様に、「爪」もケラチンというタンパク質だ。爪は皮膚が硬化して出来たものであり、皮膚と由来を同じくしている。
そう、実際に触ることができる「タンパク質ではない部分」は「歯」だけだろう。
触れる部分のほぼすべてがタンパク質であるように、生体を構成しているほとんどの部分にタンパク質が重要な働きをしている。
酵素の主成分はタンパク質だし、皮膚・筋肉は特にタンパク質をイメージしやすいだろう。
病気になったときに関わる免疫や、怪我をしたときに関わる血液凝固にもタンパク質が重要だ。
およそ10万種類のタンパク質をヒトは持つ。
この10万種類の作り方が書かれているのがDNAに含まれる遺伝情報だということだ。
タンパク質とアミノ酸の関係性
ずばり、「製品」と「部品」の関係といえる。(DNAとヌクレオチドも同じ関係性をもつ)
アミノ酸という部品を組み立てることにより、タンパク質という製品を作り出す。
製品を作り出すとき、「どの部品を使うのか」「部品をいくつ使うのか」「部品をどの順で組み立てるか」によって、出来る結果は当然異なるだろう。
タンパク質も同様であり、アミノ酸の「種類」「数」「配列の順序」によって、組み立てられるタンパク質の性質は変化する。
ということは、遺伝情報にはアミノ酸の「種類」と「数」と「配列の順序」が記載していないといけない。
これが情報として不足していると、正しい製品であるタンパク質を組み立てることが出来ないからだ。
情報の記載の仕方は塩基3つで1つのアミノ酸の指定だ。
塩基3つで1つのアミノ酸を指定することで、20種類のアミノ酸を全て指定できる。
DNAの遺伝情報からタンパク質が合成されるまでの過程は、具体的に何が起きているのだろうか?
それこそが次のテーマとなる「セントラルドグマと転写・翻訳」なのである。
以上。勉強がんばってくださいね。
いつでも応援しています。
なお、タンパク質に関する詳しい解説は、
「>>センター生物 第一問 対策&予想」
にありますのであわせてご覧ください