【新入試対策】平成29年度大学入試施行調査「生物」の解き方①

大学入試が変わる!では、どう変わる?

ご存知の通り、戦後最大の教育改革と呼ばれる大学入試改革が行われる。

しかし、具体的にどのように変わるのかは未だ誰も、具体的なところはわからない。

巷で流れる噂によると、「思考力が試される」とか「暗記型からの脱却」とか様々な言葉が

散見されるが、実際はどうなるのだろうか?

 

実は大学入試センターからは、「平成29年度試行調査_問題」が公開されている。

(https://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/pre-test_h29_01.html)

これは新入試と呼ばれる「大学入試共通テスト」の試行問題。

新入試のプレテストである。

 

この問題を解くことで、新入試が目指している地平がわかる。

思考力が試される、の意味とは?

暗記型からの脱却、の意味とは?

 

今回から行う各大問ごとの解説で、それを自ら確かめてほしいと思う。

なお、問題は全て掲載する。

自らで解いてみることを強くオススメする。

 

さらに、今回より「新入試対策」という新たなカテゴリーを追加した。

メニュー欄の「大学入試問題解説」の下位メニューとして設定しているので、

まとめて確認したい方はそちらを見ていただきたい。

では、さっそく始めよう。

 

第1問

 

さあ、どうする?

 

今回問われていることは「個体の分布」である。

分布とは、その範囲にどれくらい散らばっているか、ということだ。

皆さんはこのデータのどこに着目するだろうか?

 

私の着眼点は1つである。

個体数「0」が存在する方形区があるということ。

 

例えば「5cm四方」で囲った場合、「0」がいくつかある。

これは「5cm四方」で囲ったとき、そこに一匹もいない場所があるということで、

それは③の分布状況ではあり得ない。

 

③の分布状況で四方を作ろうとしてみるといい。

0の箇所をいくつも作ることは不可能だ。

 

同時に①の分布状況だと、与えられたデータのように、

5cm四方では満遍なく、という数値にはならなさそうだ。ということもわかる。

 

同様に、「10cm四方」にも「0」がある。

ということは⑥のような分布状況ではない。

 

さらに、④のように余りにも偏った分布にもならなさそうである。

(もし④だとしたら、0の箇所はもっと多くなる)

 

つぎに20cm四方を見る。

データ上では非常に満遍なく分布して見える。

したがって、⑦や⑧ではなさそうだ。

 

この時点で、②、⑤、⑨が残っている。

 

②から吟味する。

これは5cmの図だが、これが10cmだとどうなるだろう。

10cm四方として「個体数0」を作れるだろうか?

どうも無理そうだ。

 

⑤を吟味する。

これは10cmの図だが、これが5cmだとどうなるだろう。

「個体数0が4箇所くらい」うん、まあいけそうだ。

20cmになると・・うんこれも「満遍なく入りそう」だ。

 

⑨を吟味する。

これは20cmの図だが、これが5cmだとどうなるだろう。

個体数0の方形区は4箇所といわず、もっと出来そうにも見える。

 

以上より、表1から推察されるのは⑤の分布様式である。

 

そう、推察である。

問題文に推察せよ、と書いてある。

 

そして大学入試センター側の本問題の狙いはこのように公開されている。

干潟にいる生物の個体の分布 について,複数の方形枠を用い て調査した結果を示した表の値 を基に,生物の密度や分布に係 る情報を抽出し,分布様式を特 定する。

 

表の値を基に、情報を抽出し、特定する。

おわかりいただけただろうか?

これが、新たな入試の目指す地平である。

 

そして同時に感じてもらいたい。

この内容は「教科書で習っていなかったとしても解ける」のではないか?

 

新たな入試が始まる。それは捉え方を考えれば、追い風となりうる。