【高校生物】発酵とか呼吸とかNADHってなに?を解決

ココケロくん
なんかおなか空いたなあ〜
ココミちゃん
ココケロくん、ちょっとこれ見て。
ココケロくん
チーズ、パン、ヨーグルトに・・・日本酒?どれもおいしそう・・・。(お酒は二十歳になってから)
ココミちゃん
ちなみに出展はすべてwikipedeaね。ところで、この4つの共通点、わかる?
ココケロくん
しってるよ!発酵でしょ!
ココミちゃん
うん。じゃあ、発酵をする生物って何のためにしてるの?
ココケロくん
え・・・。そりゃあ、美味しい食べ物を作るため?
たしかに発酵の結果として、美味しい食べ物は得られます。
ですが、発酵を行う生物は「人間のために美味しいものをつくろう!」と思っているのでしょうか?

代謝

「発酵」という反応は、大きく「代謝」の一種です。
まずは「代謝」とは何か?を復習しましょう。
ココケロくん
汗たくさんかいたり、痩せやすい人を代謝が良いとか言うよね
そうですね。その使い方も、「代謝」という言葉の意味からすると間違っていません。
「代謝」とは「生体内の化学反応」のことを指します。
したがって、「汗をかきやすい」ことも「痩せやすい」ことも、
体の中での反応が盛んであるという意味で、誤りではありません。
そして「化学反応」であることから、
その反応は大きく「物質を合成する反応」と「物質を分解する反応」にわけられます。
合成する反応を「同化」、分解する反応を「異化」といいます。

「同化・異化」と「エネルギーの流れ」

同化と異化を考える際に重要な要素として、エネルギーの流れがあります。
同化反応は単純な物質から複雑な物質を合成する反応です。
この際、「合成にはエネルギーが必要」になります。
たとえば何かブロックを使って壮大な作品を作り上げるとしたら、大変ですよね。
大変だから、エネルギーが必要なのです。
一方、異化反応は複雑な物質を単純な物質に分解する反応です。
この際、「合成に使われ物質に蓄えられていたエネルギーが放出」されます。
放出されたエネルギーをもとに、ATPが合成されます。
同化と異化は、図でみるとわかるように、それぞれに対して逆の反応になっています。

異化反応の例:「呼吸」と「発酵」

さて、今回は異化反応がテーマです。
異化反応の代表例は「呼吸」と「発酵」。
では、呼吸とはどのような反応でしょうか
ココケロくん
酸素を吸って、二酸化炭素を吐く!
ココミちゃん
まあ、間違ってはいないんだけど・・・。高校生物においてはその回答では不十分なのよね。
呼吸とは、グルコースという「複雑な物質」を二酸化炭素と水という「単純な物質」に分解し
その際に放出されるエネルギーでATPを作り出す異化反応です。
この反応に酸素が使用されます。
では、続いて発酵を確認してみましょう。
発酵とは、グルコースという「複雑な物質」を、
ピルビン酸という「やや複雑な物質」に分解し、
その際に放出されるエネルギーでATPを作り出す異化反応です。
この反応には酸素は使用されません。
つまり「発酵」とは酸素を使用できない生物が、
異化反応によってエネルギーを取り出すために行っています。
ココケロくん
なるほど・・「発酵」ってべつに人間のためにやってるわけじゃないんだね。
ココミちゃん
そういうこと。まあ私たちはカエルだけどね。

2つの発酵

発酵には大きく2つあり、「アルコール発酵」と「乳酸発酵」です。
2つは始まり(グルコース)は同じでも最終産物が異なっています。
ココケロくん
最終的に乳酸ができるやつが、いわゆる乳製品だな!チーズとかヨーグルトとか。
ココミちゃん
そうね。そしてアルコール発酵で出来る二酸化炭素を利用して膨らませるのがパンで、エタノールを使用するのがお酒ね。
ココケロくん
あれ?でもさ、さっき「ピルビン酸」って書いてなかった?

発酵とピルビン酸とNAD +

発酵において、グルコースはいきなり乳酸やエタノールに変わるわけではありません。
どちらの発酵も、そしてなんと呼吸も含めて、
グルコースは一度ピルビン酸に変わります。
グルコースはまず、ピルビン酸に変わります。
そしてこのとき異化反応によってATPが生産されます。
ココミちゃん
この反応には2ATPの投資がいるの。その後4ATPを獲得できるので、結果としては2ATPを得ていることになる。
ところで、グルコースとピルビン酸の化学式に着目してください。
C6H12O6      
が 
2個のCHO
になる。
ココケロくん
あ、Hの数があってない。
そうですね。4つ分足りません。
したがってこの4つのHはこの反応のなかで、どこかに出て行くことになります。
なお、Hが外れるというこの反応は相手を酸化する反応であり、
酸化反応が起こると言うことはその裏側でかならず還元反応が起こることを意味します。
また、酸化反応は電子を奪う反応であり、
電子は原子と原子がくっつくときの接着のりの役割があります。
電子が奪われることで物質はもろくなり、壊れやすくなります。
(鉄が酸化して錆びるともろくなります)
異化反応は物質を分解する反応なので、物質を酸化させて分解しやすくしたいわけですね。
簡単にいうと、Hが外されるのであれば、外れたHを受け取る相手が必要であるということです。
このときの受取をNAD +が担います。
ただし、外された4つのHのうち2つはH +となり電子を放出しており、
その電子を受け取って2つはH という特殊状態になっています。
この特殊状態のHをNAD +は受け取ります。
2つH がいるため、NAD +の必要数も2つ。
Hを受け取り、なおかつプラスとマイナスが打ち消しあい、
2つのNADHと残り2つのH +となります。
そして発酵の全体反応のなかで、ATPが生産されるのはグルコースがピルビン酸になるここまでです。
ココケロくん
え?発酵の目的がATP生産なら、ピルビン酸で終わりでよくない?乳酸とかになんでするの??
それはNAD +を再生産する必要があるからです。
ピルビン酸までだと、NAD +はどんどんNADHと変わっていき、
NAD +は枯渇します。
Hの受取手であるNAD +がいなくなるとHを外す反応が起こせなくなり、
グルコースを分解できず、ATPも作れません。
したがって、2(NADH +H +)の状態をNAD +の状態に戻す反応が必要です。
さて、どうやれば戻るでしょう?
ココケロくん
NAD+に4HがくっついたせいでNADHが出来てたから、今度は逆にNADHから4Hを外す
ココミちゃん
冴えてる!そして4Hを外すということは4Hの受取手が必要ということだから・・・
ココケロくん
NAD+じゃないやつにつけるんだよね。そしたら・・あ、ピルビン酸につけるしかないのか
そうです。4つのHが外され、NADHはNAD +に戻ります。
このとき放出された4つのHはピルビン酸にくっつき、ピルビン酸は乳酸となります。
2CHO
2CHO
係数も考慮すると、たしかに4つぶんくっついていますね。
なお、アルコール発酵はピルビン酸に対して脱炭酸酵素が働き、二酸化炭素が外れます
この反応によってピルビン酸はアセトアルデヒドとなり、
NAD +再生産時のHの受取手は、アセトアルデヒドになります。
ココケロくん
なるほど・・。発酵にはATPを取り出すための反応と、NAD+再生産のための反応の、2つあるのか。
ココミちゃん
そうね。その感覚、つぎの「呼吸」でもいきるわよ。