平成30年度大学入試試行調査「生物」の解説[後編]
大学入試センターから公開されている
試行調査「プレテスト」の解説後編です。
「>>前編はこちら」からどうぞ。
なお、問題はこちらから
(https://www.dnc.ac.jp/daigakunyugakukibousyagakuryokuhyoka_test/pre-test_h30.html)
目次
- 第3問
- 第4問
- 第5問A
- 第5問B
第3問
問1は「分類」の話です。
③と⑤はともに昆虫類の特徴ではありますが、
⑤は「昆虫類のみ」の特徴となります。
例えば節足動物のクモ類は4対であり、ムカデ類は多対です。
したがって「節足動物に共通する特徴」としては⑤は不適切となります。
問2の選択肢は全てショウジョウバエに関して正しいことを言っていますが、
「調節タンパク質Yの濃度勾配による前後軸の形成」に関わるのは③です。
すぐに卵割してしまうと、濃度勾配が作れません。
教科書にはショウジョウバエの発生として、初期に多核の状態を作ることが記載されています。
問3です。
第3体節で発現し、第3体節に影響を与えているので、①と②は削られます。
そしてこの遺伝子がなくなると、1つ前の体節と同じ「翅」を作ってしまうため、
この遺伝子はそれを抑制していると考えられます。
遺伝子Xが働かなければ、実験の通り2対の翅ができます。
したがって「遺伝子Xが働かない」ものを選べばいいのですが、それはabc全てに該当しています。
cに関しては、「遺伝子Xがショウジョウバエと違う働きをする」→「ショウジョウバエと同じようには遺伝子Xが働かない」です。
第4問
「調査官として招かれたあなた」が考える、という設定。
面白いですね。生物を学んだのであればこういうことも考えられるようになる、と示してくれています。
問1です。
個体数が少なくなる年齢ほど子供をたくさん産んでいるようですし、
急激に増加や減少、年ごとの揺れ幅などはデータから読み取れないですね。
問2は④のグラフに飛びつきたくなりますね。
0歳から1歳になるときに結構死んじゃってるなあ、と思うはずなので。
ただ、リスは小型哺乳類です。
④のような生存曲線になるのは魚類とかですよね。
さらに、生存個体数の縦軸とデータを照らし合わせても、④ほどにはなっていないのです。
生息地が分断されると、abcの全てが減少していきます。
生息地が分断されることで絶滅のリスクが上昇する。
教科書に載っている「絶滅の渦」を思い出します。
近交弱勢の影響が②です。
さらに生息地の分断によって、その分断された地の個体数が極端に少なくなる可能性、それが③です。
数を数えてみます。
すると、「G5個、C5個、S10個」になってます。
生息地の分断および遺伝的浮動を考慮すると、
これがまた同じままになる可能性は低いです。
よって、③を選びました。
同じままになるためには「ハーディ・ワインベルク平衡」が成立する条件を満たしていなければなりません。
第5問
制限酵素Yと制限酵素Zは切り口の塩基配列が同じになります。
したがってこの2つの酵素で切ったものは繋げることができます。
繋げることができるのは「同じ制限酵素同士」ではなく「同じ切り口同士」だということです。
(もちろん同じ制限酵素だと同じ切り口になりますが)
転写に必要なのはプロモーター
転写後に行われるのが翻訳
というだけです。
まず「チューブリン」が「微小管」を構成するタンパク質であること。
そして「微小管」は「紡錘糸や鞭毛」に使用されていること、知識問題です。
なお、神経細胞に関して知らなくても答えは選べるようになっています。
dはアクチンフィラメントです、ちなみに。
第5問 B
問6です。二人三脚の例で酵素活性の阻害の話が本文中に出ています。
ススムくんに足りないのがこの視点だったのでしょう。
正常ポリペプチドが阻害されないのであれば、半分あれば活性も半分なのでしょう。
それが①の選択肢です。
あとは②③④は活性が半分にならないので切れますね。
問7です。
「活性が低いかほとんどない」は劣性ホモかヘテロかのどちらかです。
したがってこのままでは計算不能ですので、
この集団は「ハーディ・ワインベルク平衡」にあると仮定します。
「日本人は顔が赤くなりやすい人が多い」とあるので、日本人という集団で考えれば平衡になっていてもいい気がします。
さて正常遺伝子のホモ接合が「活性が高い90人」なので、そこから遺伝子頻度を計算します。(画像参照)
すると、0.75となります。
1-0.75=0.25
となり、解答です。