多摩動物公園で学ぶ有袋類と収束進化

多摩動物公園に行ってきました。 

「動物園の楽しみ方」は目的を持って見に行くこと、です。

そうしないと、「動物がいることの確認」に終始してしまい、

「動物スタンプラリー」みたいな状態になってしまいます。


タスマニアデビル

今回の僕の目的は「タスマニアデビルを見ること」でした。

そして、タスマニアデビルがいる「オーストラリアゾーン」にてあることを確認すること。

タスマニアデビル、いました。

デビルなんて恐ろしい名前がついています。

鳴き声を聞くことが出来ませんでしたが、

夜間に泣く声がまるで悪魔のようであったことから、

この名前がついたとされています。

オーストラリアのタスマニア島にのみ生息する固有種です。

別名として「フクログマ」「フクロアナグマ」とも呼ばれます。
絶滅危惧種の肉食性有袋類です。

デビル顔面腫瘍症

タスマニアデビルのエリアのすぐそばにこの看板がありました。

東京大学の2017年度前期試験の生物では、

この「タスマニアデビルの顔面腫瘍症」がテーマとなっていましたね。

オーストラリアゾーンの動物たち

カンガルー
御飯時に来てしまったようです

さて、お気づきでしょうか。

オーストラリアの動物たちには、

オーストラリア以外の動物たちと比べて、

顕著な特徴があります。

そう、彼らは袋を持つということです。

名前に「フクロ」とつくものはわかりやすいですし、

カンガルーやコアラも袋を持っていますね。

有袋類と有胎盤類(真獣類)

哺乳類のなかでも育児嚢と呼ばれる袋を使用するグループを有袋類

胎盤を使用して体内で子供を育てるグループを有胎盤類(真獣類)といいます。

したがって有袋類の場合、子は未熟なまま出産されます。(その後、育児嚢で育てる)

有袋類のグループは、オーストラリアに集中しており、その他の地域ではほとんど見られません。

オーストラリア以外では、有袋類は真獣類にとって代わられていますが、

オーストラリアだけは有袋類がそのまま繁栄しました。

オーストラリアは周りを海に囲われており、

外部からの侵入がないため、独自の繁栄を行うことができたのです。

収束進化

「フクロモモンガ」は有袋類であり

「モモンガ」は真獣類です。

「フクロギツネ」と「キツネ」、「フクロモグラ」と「モグラ」もそうですし、

実は「カンガルー」と「シカ」、「コアラ」と「ナマケモノ」も同じ関係です。

片方は有袋類で、片方は真獣類。

ともにまったく独自に進化してきたのに、

形状が似ている動物がいます。

この現象は「収束進化(収斂進化)」として説明されます。

進化とは「環境への適応」が駆動力となるため、

まったく独自ルートだとしても、「適応すべき環境が似ていれば」
その結果として「適応した姿も似る」のです。

したがって、収束進化の可能性を考慮すると、姿形が似てたとしても

同種であるとはいえませんね。

オマケ 「偶蹄目」と「奇蹄目」

名前の通り、蹄(ひづめ)の数が偶数か奇数かということです。

ヤギ(偶蹄目)

偶蹄目はウシ目とも呼ばれるウシの仲間。ヤギの場合は2つの蹄。

サイ(奇蹄目)

奇蹄目はウマ目とも呼ばれるウマの仲間。

サイは3つの蹄。

オマケ 「二名法による学名」

必ず載ってます。

リンネによる二名法は学校で必ず習うはず。

高校生物を学べば動物園は楽しい

高校で生物を学んだのであれば、

学校で習ったこと、先生が言ってたことは本当だろうか?
を確かめにいくと、動物園の楽しみ方が広がっておススメですよ。

ポイントは全部の動物を無理に見ようとしないこと。

興味のあるやつを少しずつでも良いので、何度も来ましょう。

年間パスポートはそのためにあるのです。