【高校生物】呼吸② クエン酸回路

ココケロくん
きたー、ついにクエン酸回路・・。これ覚えられないんだよなー。
ココミちゃん
まあこれは丸ごと覚えるのってなかなか苦しいね。だからそんなに出題率も高くないんだよ。
ココケロくん
え!!出題率たかくないの?!じゃあやらなくても。。。。
ココミちゃん
そんな不安定な勉強はダメ。でもね、出題されたとしても聞かれることは決まってたり・・・ね。

目次

クエン酸回路の役割

呼吸の反応は3段階に分かれています。

1つ目が「解糖系」
2つ目が「クエン酸回路」
3つ目が「電子伝達系」

です。

 

1つ目の解糖系でグルコースが酸化的に分解されてピルビン酸となります。
しかし、このピルビン酸はまだまだ複雑な有機物であり、
分解することでエネルギーを取り出すことができます

 

このピルビン酸を更に分解する、
ということを細胞小器官の1つであるミトコンドリアが担当します。

ミトコンドリアは自身の内部空間
(ここをミトコンドリアのマトリックスといいます)に、
ピルビン酸を取り込み、分解を始めます。

これが、クエン酸回路です。

 

 

ココケロくん
で、でた〜〜〜!おぼえられね〜〜〜〜!
ココミちゃん
覚えろって言ってないでしょ・・。ねえ、何か気づかない?
ココケロくん
ん・・・?なにかって「C」の数がどーのこーので。ん?数が変わってる場所がある・・?

 

 

そうです、
実はこのクエン酸回路の炭素数や各物質の名称を
細かく問われることは滅多にありません

各物質の炭素数は上図のように与えられることが多いです。

ということは・・・・

 

ココケロくん
この図から何を読み取るか?ってこと?

その通りです。

まずはココケロくんが気付いたように、

炭素数の変化

が最大のポイントになります。

 

解糖系でできた2個のピルビン酸は「C」であり、
次の物質は「C2」です。

C→C2

ということは炭素が1つどこかへ消えた、ということです。

 

どうして消えたかというと・・・

 

ココケロくん
あ、二酸化炭素が出てるから・・・?

正解です。

二酸化炭素となって出ていきます。
COと表記される二酸化炭素は「炭素数1」の化合物ですね。

ちなみに2個出ているのは、ピルビン酸が2個あるからであり、
それぞれのピルビン酸から1個ずつ二酸化炭素が出て行くからです。

 

そしてここが重要です。

クエン酸回路とは

ピルビン酸(C3H4O3)を二酸化炭素(CO2)にまで分解する反応系

であるということができます。

ですから、二酸化炭素が出て行くのは当たり前なのです。

 

クエン酸回路の全体像

まず、試験に出るとこを覚えましょう。

①炭素数が減る場所からは二酸化炭素が出る。

これは先ほど説明した場所です。

で、あれば、

 

②炭素数が増える場所は何かと何かが合体している。

とも言えそうです。

 

その場所こそが、クエン酸回路の「回路反応の一番最初」です。

C2であるアセチルCoAとCであるオキサロ酢酸が合体して、
C6のクエン酸ができています。

この部分がものすごくよく出ます。

 

クエン酸回路で絶対に覚えなければならない化合物は、
ピルビン酸」「アセチルCoA」「オキサロ酢酸」「クエン酸」です。

 

それぞれの場所を、炭素数とともに確認してください。

なお、全ての化合物が「2個」なのは、スタートのピルビン酸が「2個」だからです。

 

 

ココケロくん
他にも色々出たり入ったりしてるけど、それはいいの?

 

 

その部分を厳密に説明するには高度な生化学の知識が必要です。

ですので、それぞれを非常に簡単に説明します。

 

③基本的には二酸化炭素を引き抜くときに水素(電子)も引き抜く
 →ここから、NADHが生成されます。

コハク酸からフマル酸の変化にはFADが使用される。
 →機能はNAD +と同じです。

6分子ぶんの水が加えられる。
 →この反応は難しいですが、「ATPの加水分解」の逆反応が起きている場所が1箇所あります。

⑥ATPが合成される。
→⑤の話と重なりますが、クエン酸回路ではグルコース1分子から2分子のATPが合成されます。

 

なお、他の化合物の名称を聞かれることはまず無いですが、

 

という語呂合わせが存在します。
「クエン酸回路」ですので、「クエン酸」スタートの語呂合わせです。

 

ココミちゃん
でも別に歳上の男性だからって不利ではないよ。自分のことをおっさんだなんて卑下しなくていいと思う。
ココケロくん
ええ!?なんの話!?

クエン酸回路の化学反応式

 

この反応式からクエン酸回路の役割が見えます。

クエン酸回路はやはり、

「2個のピルビン酸」を「6個の二酸化炭素」にまで分解する反応系なのです。

 

そしてその反応の際に、「6個の水」が必要となり、

分解の際に水素(電子)を引き抜いていくので、

 

大量のNADとFADを使用し、

大量のNADHとFADH2を生成する反応です。

 

そして2個のATPを作ります。

 

ココケロくん
いやいや!!!待って!!!!おかしいよ!!!!!!!
ココミちゃん
おかしい?
ココケロくん
なんで2個だけなの?二酸化炭素にまで分解したんでしょ?

 

まさしく、ココケロくんの言う通り、

ピルビン酸を頑張って分解したのに得られるATPが少ないです。

 

いえ、というより、

クエン酸回路の各分解段階で、ATPが出ている場所が1箇所しかないのが既におかしいのです。

 

この分解の際に放出されたエネルギーですが、
実は水素(電子)とともにNADHとFADH2のなかに蓄えられています。

 

よって、この蓄えられたエネルギーを、ATPに変換する必要があります。

ですので、呼吸の反応はこの後に3段階目を必要とするのです。

 

大量のNADHとFADH2

 

また、別の見方をすることもできます。

このNADHとFADH2はNADとFADからできています。

 

発酵の時に説明したことと同様に、

NADとFADは再生産しないと枯渇します。

 

よって、解糖系とクエン酸回路で生まれた大量のNADHとFADHを、
NADとFADに戻す反応がこのあと必要なのです。

 

ですので、呼吸の反応はこのあとに3段階目を必要とするのです。

 

 

電子伝達系の化学反応式

電子伝達系に関する詳しい説明は次回ですが、

化学反応式だけ示しておきます。

 

この電子伝達系が、NADとFADを再生産する反応だと見えるはずです。

そしてその際、蓄えられていたエネルギーがATPに変換され、

電子伝達系だけで34ATPもの合成を行うことができます。

 

なお、

クエン酸回路で酸素は使用しませんが、
酸素が存在しないとクエン酸回路は止まります。

 

なぜですか?

 

ココケロくん
NAD+もFADも再生産できなくて、足りなくなっちゃうからでしょ?
ココミちゃん
え、すごいね
ココケロくん
でしょ!でもさ、「発酵」と同じだもん。この部分の考え方。

 

 

 

まさしく、「発酵」からは呼吸全体を理解するのに学べることが多いです。

呼吸の反応が苦手な人は、まずは発酵から学び直してみると良いかもしれませんね。