【生物基礎】自然免疫をわかりやすく解説

ココケロくん
免疫ってなんかよくわかんないな~~。覚えること多すぎじゃない?!?!?
ココミちゃん
ちょっと、またなに叫んでるの
ココケロくん
いやー、毎度毎度ごめんね。でもさ、生物の勉強してたんだけどよくわかんなくて
ココミちゃん
そう?免疫って私好きだけどなあ。物語みたいで。
 
ココケロくん
物語・・・?免疫って体の中に入ってきたものを排除するってだけじゃないの?
 
ココミちゃん
んー、まあ間違ってはないんだけどね。でも例えばさ、「入ってきたものを排除する」前に「入らないようにすべき」だと思わない?
ココケロくん
たしかに・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「免疫」と言ったとき、どうしても体内に入ってきてからをイメージしてしまいがちです。
 
 
でも、そもそも「体内に入ってこなければ良い」のであり、免疫のシステムはそこから始まっています。
 
 
「免疫」は大きく3つの防衛ラインから構成されますが、1つめが「物理・化学的防御」すなわち、「入ってくることを阻止する」防衛です。
 
 
私たちの全身を覆い、非常に強力な防御として成立しているのが「皮膚」です。
生物と非生物の間である「ウイルス」は、生きた細胞のシステムを利用することで増殖します。
 
 
 
すなわち、死んでいる細胞に対しては何もすることができません。
だから、我々は全身を「角質層」と呼ばれる死細胞の層で覆っています。
 
 
 
手に何も傷がなければある程度汚いものでも触れるが、手に傷があったらどうだろう、嫌じゃないでしょうか?その感覚こそが、「皮膚」が協力な防御であることを示しています。
 
 
 
 
また、気管の上皮など、粘膜と呼ばれる部分は粘液を出し、繊毛運動によって付着した異物を外へ押し出しています。これらは「物理的に」入れない、「物理的に」出す、という防御なので、「物理的防御」に該当します。
 
 
 
同時に、皮膚のうえには「ディフェンシン」と呼ばれる酵素があります。
 
 
ココケロくん
あ、これ、あれじゃない?ディフェンスからきてるんじゃない?
 
 
うん、そうでしょうね。防御の酵素。細菌などの細胞膜を破壊します。
それから、唾液、涙、汗に含まれる「リゾチーム」は細菌などの細胞壁を破壊する酵素です。
 
 
ココケロくん
細胞壁?植物じゃないのに?あれ、もしかして細菌って植物?
 
 
いや、細菌は植物ではないですが、細胞壁をもちます。植物の細胞壁の主成分はセルロースですが、細菌の細胞壁の主成分はペプチドグリカンっていう違いはありますね。
そしてこの「酵素」は化学反応ですので、「化学的防御」にあたります。
 
 
ココケロくん
どうでもいいけどこのヒトの絵、血を吐いてるように見えて怖いね・・。でもこんなに防衛してるんなら、体内に入ってくること無いのでは?
ココミちゃん
たとえば怪我をしたときとか
 
 
 
 
 
 
 
 
 
体内に異物が侵入した場合、すぐに対応することが求められます。
恒常性によって体内は細胞によって心地よい環境になっています。その環境は異物にとっても好ましい環境であり、ほっておくと凄まじい勢いで増殖してしまうからです。
 
 
このとき登場する3つの登場人物「樹状細胞」「マクロファージ」「好中球」を「食細胞」と総称します。
 
 
食細胞は侵入してきた異物にいちはやく対応し、まさしく食べることによって退治していきます。
これを「食作用」といいます。
 
 
ちなみにマクロファージはサイトカインという物質を出し、近くの毛細血管を拡張します。
拡張された毛細血管は血管壁の小さな穴も広がるため、血管内を巡回している食細胞が、血管から出てきやすくなります。
しかし普段より血管が拡張されているわけであり、我々としてはその部分は熱や痛みを持つ「炎症」として感じられます。
 
 
 
この食細胞による食作用は、対応は早いのですが特異性がないため、異物の排除能力はそんなに高くありません。
この防衛ラインを突破された場合、3つ目の最終防衛ラインの出番となります。
 
 
 
ココケロくん
最終防衛ラインが一番強いイメージだなあ。
ココミちゃん
そうね。3つ目の防衛ラインは「相手によって対応」を変える能力があるの。効果抜群の攻撃を選ぶことができるわけね。
 
ココケロくん
すごい!かっこいい!でもなんでそんなことできるんだ?
 
ココミちゃん
少なくとも「入ってきた異物がどんな奴か」は知っておく必要がありそうね。
 
ココケロくん
じゃあ、誰か伝えにいかないと・・。あ、樹状細胞がなにかしてる?
 
 
 
樹状細胞は、体内に取り込んだ異物を細胞表面に出し、「抗原提示」を行います。
 
 
 
これによって3つ目の防衛ラインである「適応免疫(獲得免疫)」が開始されます。
 
 
なお、「物理・化学的防御」と「食作用」を合わせて「自然免疫」と呼びます。
名前の由来は「遺伝的に自然に備わっている」免疫ということからきていますが、それは次の「適応免疫」との対比から再び説明します。
 
 
 
ココミちゃん
ね。なんかちょっと面白いと思わない?
 
ココケロくん
うん!次の最終防衛ラインも気になるなあ~