【生物基礎】酸素解離曲線の応用「胎児のヘモグロビン」

ココケロくん
なんか胎児のヘモグロビンってのを聞いたんだけど・・
ココミちゃん
胎児のヘモグロビンは大切ね
ココケロくん
応用なんでしょ?むずかしいよ〜
ココミちゃん
ほら、落ち着いて。話自体はとっても単純なことだよ

酸素解離曲線のシフトと、酸素との結合のしやすさ

まずはこちらを見てください。
黒い酸素解離曲線が、左にシフトすることで、赤い酸素解離曲線となりました。

このとき、赤い酸素解離曲線の方が、黒い酸素解離曲線よりも上に来ています
縦軸は酸素ヘモグロビンの割合、つまり、どれくらい酸素と結合しているかを示しているので、
赤い酸素解離曲線の方が酸素と結合している割合が大きいことがわかります。

したがって、酸素解離曲線は左にシフトすると酸素と結合しやすくなり、
反対に右にシフトすると酸素と結合しにくく(酸素を離しやすく)なります。

酸素解離曲線のシフトの条件

酸素解離曲線が左にシフト、つまり酸素と結合しやすくなるのは、
pHが大きく(塩基性寄り)、温度が低い時です。

反対に右にシフト、つまり酸素と結合しにくくなるのは
pHが小さく(酸性寄り)、温度が高い時です。

ココケロくん
ええ、それ覚えるの・・?

はい。ですが、覚え方があります。

着目するのは、右へのシフト
つまり、酸素と結合しにくくなり、酸素を離しやすくなる状態です。

どんな時に酸素を離すべきですか?

ココケロくん
酸素を渡してあげるわけだから・・酸素が必要な時?

大正解です。
酸素が必要とされている、
つまり呼吸が盛んなところでは、ヘモグロビンは酸素を離してあげたいですね。

呼吸が盛んなところでは、二酸化炭素が多くなり、
それが水に溶けて炭酸となるので、pHは酸性寄りになります。
また、代謝が盛んだと熱を生むので、呼吸が盛んだと温度が高くなります。

したがって、
・二酸化炭素が多い
・酸性寄り(pHが小さい)
・温度が高い
条件では、酸素解離曲線は右にシフトします。

左へのシフトはこの逆です。
理解すれば忘れないですね。

なお、我々が普段目にする酸素解離曲線は

このように二酸化炭素の濃度によってシフトが起きている状態になっているわけです。
二酸化炭素が多い場所は呼吸が盛んだから酸素を離したい
→右にシフト、でしたね。

胎児のヘモグロビン

よく出題される胎児のヘモグロビンも、同じ観点から理解することができます。

胎児のヘモグロビンは母体のヘモグロビンと比べて、
左にシフトしています。

左にシフトしているということは、酸素と結合しやすくなっています。

さて、では、逆を考えてみましょう。
母体のヘモグロビンの方が胎児のヘモグロビンよりも酸素と結合しやすかったら・・

ココケロくん
お腹の赤ちゃんに酸素がいかない?

そうです。

胎児は母体から酸素を受け取るために、母体よりも酸素との結合が強くなければなりません。
以上の理由から、胎児のヘモグロビンは母体のヘモグロビンよりも左にシフトしています。

ミオグロビンとリャマ

せっかくなので、ミオグロビンとリャマについても確認しましょう。

筋肉中のミオグロビンと、血液中のヘモグロビンを比較すると、
上記のような酸素解離曲線となります。

ミオグロビンの方が左にシフトしています。

したがって、筋肉中のミオグロビンの方が酸素と結合しやすいことがわかります。
ヘモグロビンは酸素の運搬、筋肉のミオグロビンは酸素を蓄える、という感じですね。

続いて、リャマです。

出典はwikipedia。
リャマはアンデス山脈に生息するラクダ科の動物です。
酸素の薄い高地に生息しているため、ヘモグロビンは酸素と結合しやすくなっています。

この左へのシフトによって、
酸素が少なくても酸素と結合することができるようになっています。

ココケロくん
ただ覚える、というよりも「理解して覚える」が大切なんだなあ
その通りですね。
しっかりと納得したうえで覚えていきましょう。