【生物基礎】「細胞周期の問題」の解き方を解説
(高校生物基礎の頻出問題です)
[問題]
分裂組織の様々な段階の細胞数を以下に示す。
すべての細胞の細胞周期が等しく20時間だとすると、間期の長さは何時間か求めよ。
間期:324個
分裂前期:22個
分裂中期:4個
分裂後期:3個
分裂終期:7個
ココケロくんで、でた〜〜!細胞周期!!!!
ココミちゃんなにその反応。
ココケロくん「よく出る」って先生は言うけど、何がなにやらよくわからないんだ〜。G1とかSとか英語まで出てくるし
ココミちゃんそれなら、細胞周期を可能な限りわかりやすく伝えるわ。ただ、前段階として、体細胞分裂がちゃんとわかっていないとだめかも。
まずは、体細胞分裂の復習から
「体細胞分裂」は、最初の細胞と分裂後の細胞が同じになる「不変」の分裂です。
ただし、最初と最後が同じになるためには、
あらかじめ分裂の前に染色体を2倍に増やしておく必要があります
「体細胞分裂にかんしてはこちら」で復習もぜひ。
上記のように、分裂前には染色体2本、分裂後には染色体2本の細胞が2つ。
つまり、分裂後には染色体が計4本。
2本を4本に増やさなければなりません。
したがって、分裂より前には「染色体を増やす」という仕事が必要になります。
また、染色体とは「DNA +ヒストン(タンパク質)」なので、
「染色体を増やす」とは「DNAを合成する」ということにもなります。
(ヒストンは核内に十分な量が存在しています)
「合成」してから「分裂」する
このように、「DNAを合成する」の次に、「分裂を行う」がきます。
ココケロくんなんか、当たり前だなあ。
そうですね。そう思えたらしめたものです。
ただし、「DNAを合成する」も「分裂を行う」も、
細胞からしたら非常に重要な大仕事です。
ミスをすることが許されません。
ですので、この2つを行う前には・・・
ココケロくんあ、「なんとか準備期」ってのはもしかして・・
そう、準備が必要なのです。
DNA合成の前には「DNA合成準備」
分裂の前には「分裂準備」が必要です。
そして準備が終わったら、分裂をし、
また次の分裂のためのDNA合成準備をします。
したがって、この流れを1度きりで終わるのではなく、
ぐるぐると何度も繰り返し起こります。
これが「細胞周期」です。
分裂から次の分裂までの流れを示しています。
各段階には名前がつけられており、
「DNA合成準備期」
「DNA合成期」
「分裂準備期」
「分裂期」
です。
ココケロくんあれ?なんかあの、英語のやつは?
それは各期の英名の頭文字です。
「DNA合成準備期」→「G1期」(Gap1期)
「DNA合成期」→「S期」(Synthesis期)
「分裂準備期」→「G2期」(Gap2期)
「分裂期」→「M期」(Mitosis期)
となっています。
ココケロくんこれは覚えるの・・・?
英名を覚える必要はありませんが、頭文字と日本語は覚える必要があります。
Mitosisは覚える必要がないですが、
「分裂期」を「M期」というは覚えていないといけません。
ただ、このなかで「Gap」だけは覚えておくと得をします。
Gapは「隔たり」という意味を持つ単語であり、
Gap1は1つめの隔たり
つまり「合成を行う前の時間的な隔たり」を意味します。
Gap2は2つめの隔たり
これは「分裂を行う前の時間的な隔たり」です。
合成→分裂という流れを頭にいれておけば、どっちがG1でどっちがG2かもわかるのではないでしょうか。
細胞周期の考え方
以上から、細胞周期は以下のように表現されます。
実際に細胞周期のなかで「分裂」をおこなっているのは「分裂期」のみであり、
それ以外の「DNA合成準備期(G1期)」「DNA合成期(S期)」
「分裂準備期(G2期)」は分裂を行なっていないため「間期」といいます。
ココケロくんあ、細胞周期の4つのうち、ほとんどは間期なんだ。
そうです。したがって、間期は分裂期よりも時間的にも長いです。
また、分裂期はこちらで学んだように、
「前期・中期・後期・終期」とわけることができますね。
細胞周期のグラフ
続いて、皆さんもよく見たことがあるであろう、こちらのグラフを紹介します。
縦軸は「細胞1個あたりのDNA量(相対値)」
横軸に「各期」をとります。
ココケロくん相対値って?
「実際の値ではなく、比べてどうかという値」という意味です。
もしこれが相対値でなければ、実際のDNA量を、例えば「何g」とか書かないといけません。
しかし、相対値であれば、
比べて「2倍」とか、比べて「半分」とかで処理できます。
グラフはこのようにDNA量が変動しますが、
着目すべきは3つです。
まずはここ、S期(DNA合成期)です。
名前の通り、DNAが2倍に合成される時期なので、
S期(DNA合成期)の始まりと終わりを比べると、
DNAの量は2倍となります。
ココケロくんS期にDNAがじわじわと合成されていってるってことだね。
そうです。
続いて、G1期(DNA合成準備期)とG2期(分裂準備期)です。
ともに準備期であり実際にDNAを合成したり分裂したりはしていません。
したがって、ここにDNA量の変動は起きません。
最後にM期(分裂期)の中でも終期の終わりです。
ここでいきなりDNA量が落ちますね。
ココケロくんなんでS期みたいに斜めの線にならないの?
それは縦軸が細胞1個あたりだからなんです。
終期が終わるまで、細胞の中には2倍の染色体(2個ぶんの核)が存在しています。
終期になり、動物細胞であればくびれて、ちぎれた瞬間2つの細胞になり、
細胞1個に核1個の状況がうまれます。
したがって終期の最後(2つの細胞になるとき)に、
がくんと細胞1個あたりのDNA量は半減します。
「細胞周期の各期」の時間の計算
こちらをご覧ください。
ココケロくん長いからたくさんいるってこと?あ、渋滞に引っかかってるてきな?
ココミちゃんまあ、そんな感じかなあ。あとは、ディズニーランドで時間のかかるアトラクションには人がたくさん並ぶ、みたいな。
ココケロくんなるほど!時間がかかる場所には細胞がたくさんいる!
ココミちゃん逆に言うと「細胞がたくさんいるところは時間がかかる」ともいえるわ。
そういうことです。
したがって、細胞数の割合と時間の割合は等しいものとして計算します。
[問題]
分裂組織にみられる、様々な段階の細胞数を以下に示す。
すべての細胞の細胞周期が等しく20時間だとすると、間期の長さは何時間か求めよ。
間期:324個
分裂前期:22個
分裂中期:4個
分裂後期:3個
分裂終期:7個
以上。よく出題される細胞周期の問題ですが、
体細胞分裂からしっかり理解しましょう。