【生物基礎】DNA、遺伝子に関する計算問題の解説

189個のアミノ酸からなるタンパク質Aの設計図となる遺伝子Aがある。

その遺伝子Aから転写されて作られたmRNAのアミノ酸を指定している範囲には、

アデニンが204個、シトシンが83個、グアニンが135個含まれていた。

(1)遺伝子Aのうち、アミノ酸を指定している二本鎖DNA領域の塩基対の個数を答えよ。

(2)遺伝子Aのうち、アミノ酸を指定している鋳型鎖DNA領域のアデニンとグアニンの個数を答えよ。

 

 

 
ココケロくん
何が何やら・・・
ココミちゃん
こ、困りすぎてリアルなカエルになってる!この手の問題の場合、転写・翻訳の関係をきちんと図にしてみることが大事よ?
 
 
 
タンパク質Aは189個のアミノ酸で出来ています。
すると、翻訳元のmRNAの塩基の数がわかります。mRNAの塩基3つで1つのアミノ酸を指定する、という決まりがあるからです。
 
したがって、189×3=567個の塩基がmRNAにはあることがわかります。
また、mRNAはDNAが転写されて出来ます。
567個の塩基があるmRNA ができたということは、転写元のDNAには567塩基対あったということがわかります。
 
以上より、(1)の解答は、567個です。
 
 

ココケロくん
なるほど・・。図にするってめんどくさいけど、大事なんだなあ。
ココミちゃん
そうね。ちゃんと図を描いたほうが、結果的には楽になるわね。
ココケロくん
(2)もそうやってやってみようかな。あれ・・?でも、「鋳型鎖」ってなんだっけ?
ココミちゃん
DNAは二本鎖よね。
ココケロくん
うん。二重らせん構造っていうもんね。
ココミちゃん
そうね。ワトソンとクリックによって提唱された有名な構造ね。じゃあ、RNAは?
ココケロくん
DNAのコピーなんだから2本?あれ、でも1本だ。
ココミちゃん
二本のうちのどちらか一方だけが転写(コピー)されるの。そのコピー元を鋳型鎖と呼ぶのよ。RNAを作るための型になっているわけね。
ココケロくん
なるほど・・。まずは素直に条件を図にしてみるか・・。
 
 
mRNAの塩基の内訳として、アデニンが204個、シトシンが83個、グアニンが135個と与えられています。
塩基の総数が567個とわかっているので、残りの1つであるウラシルは、567−(204+83+135)=145個だとわかります。
さらにここから、鋳型の鎖を考えていきます。
 
 
 
最大限に注意が必要なのは、転写のイメージはコピーですが、それは単なるコピーではないということです。
DNAの塩基には相補性があり、AにはT、GにはCというように結合の相手が決まっています。
これを元にしてmRNAをつくるため、鋳型の鎖にTがあれば、そこに結合してできるmRNAはAとなっています。
鋳型鎖をそのままをコピーしているわけではない。という部分に注意してください。
 
さて、先ほど内訳を確定させたmRNAを元に、鋳型鎖を描いて見ると上記のようになります。
以上より、(2)の解答は、鋳型鎖のAは145個、鋳型鎖のGは83個、となります。
 
 
問題文の数字に惑わされず、丁寧に図を描くことが攻略の道です。
計算問題を得点源にしましょう。