【生物基礎】酸素解離曲線の解き方を解説

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(高校生物の定番問題)

下図はある哺乳類の酸素解離曲線を示したもので、

肺胞での酸素濃度は相対値100、二酸化炭素濃度は相対値40であり、

組織での酸素濃度は相対値30、二酸化炭素濃度は相対値60である。

(1)肺胞の血液と、組織の血液では酸素ヘモグロビンの割合はそれぞれおよそ何パーセントか答えよ。

(2)組織では、酸素ヘモグロビンの約何パーセントが酸素を解離したか整数値で答えよ。

ココケロくん
あー、これ、いつも何となくできる気もするんだけど、最後の方の計算が微妙に合わないことが多くて・・
ココミちゃん
それは良い間違いかもよ。計算上、注意しなければならないことが1つあるの。

酸素ヘモグロビンとは

ヘモグロビンとは、赤血球に含まれるタンパク質であり、
酸素と結合することができる」という性質を持っている。

ヘモグロビンが酸素と結合すると、「酸素ヘモグロビン」となり、
酸素ヘモグロビンから酸素が離れると、「ヘモグロビン」となる。
またこの過程には色の変化も伴い、酸素ヘモグロビンは鮮紅色(せんこうしょく)、
ヘモグロビンは暗赤色(あんせきしょく)となる。

ヘモグロビンは肺にて酸素を受け取り、血液として全身をめぐる際に、酸素を求めている場所に酸素を渡す

したがって、肺では酸素を受け取った「酸素ヘモグロビン」が多く存在し、
全身の細胞(組織)では酸素を離した(細胞に酸素を渡した)「ヘモグロビン」が多い。

つまり、酸素ヘモグロビンが多い場所は「酸素を受け取る場所」でありそこは「酸素を離す必要がない」。
逆に、酸素ヘモグロビンが少ない場所は「酸素を渡すべき場所」であり「酸素を離す必要がある」ということだ。

酸素を離す必要がない場所は、「酸素が多く、二酸化炭素が少ない」場所(など)であり、
酸素を離す必要がある場所は、「酸素が少なく、二酸化炭素が多い」場所(組織など)である。

酸素解離曲線

このヘモグロビンと酸素との関係を示したのが「酸素解離曲線」である。

縦軸が「酸素ヘモグロビンの割合」であり、100パーセントのヘモグロビンのうち、何パーセントが酸素ヘモグロビンなのかを示す。
横軸が酸素濃度であり、酸素がどれくらい存在するかを示す。

酸素が多いところではヘモグロビンは酸素を受け取るので「酸素ヘモグロビン」が多く、
酸素が少ないところではヘモグロビンは酸素を離すので「酸素ヘモグロビン」は少なくなる。

さらに、酸素を離すかくっつけるかは、酸素濃度だけではなく
二酸化炭素濃度にも左右される

二酸化炭素が多い場所ほど、酸素が必要だと判断し、酸素ヘモグロビンは酸素を離す。
逆に二酸化炭素が少ない場所ほど、ヘモグロビンは酸素と結合しようとする。

したがって、酸素濃度だけではなく、二酸化炭素濃度の変化もグラフ上に記す必要があるが、
既に縦軸(酸素ヘモグロビンの割合)も横軸(酸素濃度)も使ってしまっている。
ここに「二酸化炭素の濃度の情報」を入れるためには「三軸のグラフ」にするか、
もしくは「グラフ自体をもうひとつ書くか」のいずれかである。

高校生物で出てくる酸素解離曲線は「グラフ自体をもうひとつ書く」ことで、
「二酸化炭素の濃度の情報」を追加している。
これが、「酸素解離曲線がいつも2本のグラフで表現されている理由」である。

問題の解法

(1)肺胞の血液と、組織の血液では酸素ヘモグロビンの割合はそれぞれおよそ何パーセントか答えよ。

グラフを読むだけではあるが、どこが「肺胞の血液」でどこが「組織の血液」なのか判断する必要がある。

すると、問題文にこのような記載が見つかる。

肺胞での酸素濃度は相対値100、二酸化炭素濃度は相対値40であり、

組織での酸素濃度は相対値30、二酸化炭素濃度は相対値60である。

したがって、この条件に当てはまる場所を探すこととなる。

縦軸の数値を読むと、

肺胞では酸素ヘモグロビンが95パーセント

組織では酸素ヘモグロビンが50パーセント

だとわかる。

(なお、二酸化炭素濃度が低い(40)のグラフの方が、二酸化炭素濃度が高い(60)のグラフよりも
 上部に来ていることが、二酸化炭素濃度が低いほど酸素と結合しやすいことを示している。)

(2)組織では、酸素ヘモグロビンの約何パーセントが酸素を解離したか整数値で答えよ。

注意!

95パーセントが50パーセントになったのだから、45パーセントを離した!と言いたいところだが、
その計算はこういうことを意味する。

酸素ヘモグロビンの何パーセントが、と聞かれているので、
酸素ヘモグロビン全体のうち何パーセントが、ということである。
しかし、酸素ヘモグロビンは肺胞の段階でも最大95パーセントしかいない

よって、酸素ヘモグロビンが全部で95パーセントであることを考慮すると

という立式となり、
整数値で答えると44パーセントとなる。

【訂正】
この計算を行うと、結果は47.3パーセントとなります。
よって整数値で答えると「47パーセント」が正解です。
何故計算を間違えたのだろう・・・ご指摘ありがとうございました。
のちほど、画像等を入れ替えしておきます。

分母にどの数値を置くべきかは問題をよく読み、判断する必要があるのだ。

なお、発展内容の「胎児のヘモグロビンはこちら」もあわせてどうぞ。