【生物基礎】「細胞周期の問題」の解き方を解説
(高校生物基礎の頻出問題です)
[問題]
分裂組織の様々な段階の細胞数を以下に示す。
すべての細胞の細胞周期が等しく20時間だとすると、間期の長さは何時間か求めよ。
間期:324個
分裂前期:22個
分裂中期:4個
分裂後期:3個
分裂終期:7個
ココケロくんで、でた〜〜!細胞周期!!!!
ココミちゃんなにその反応。
ココケロくん「よく出る」って先生は言うけど、何がなにやらよくわからないんだ〜。G1とかSとか英語まで出てくるし
ココミちゃんそれなら、細胞周期を可能な限りわかりやすく伝えるわ。ただ、前段階として、体細胞分裂がちゃんとわかっていないとだめかも。
まずは、体細胞分裂の復習から
「体細胞分裂」は、最初の細胞と分裂後の細胞が同じになる「不変」の分裂です。
ただし、最初と最後が同じになるためには、
あらかじめ分裂の前に染色体を2倍に増やしておく必要があります
「体細胞分裂にかんしてはこちら」で復習もぜひ。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/33e194282204251156b10442db992386.jpg)
上記のように、分裂前には染色体2本、分裂後には染色体2本の細胞が2つ。
つまり、分裂後には染色体が計4本。
2本を4本に増やさなければなりません。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/55413f3761a5c5d25bc993ed078507aa.jpg)
したがって、分裂より前には「染色体を増やす」という仕事が必要になります。
また、染色体とは「DNA +ヒストン(タンパク質)」なので、
「染色体を増やす」とは「DNAを合成する」ということにもなります。
(ヒストンは核内に十分な量が存在しています)
「合成」してから「分裂」する
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/ec43b7c682a9387ebe2f51ac5284e2aa.jpg)
このように、「DNAを合成する」の次に、「分裂を行う」がきます。
ココケロくんなんか、当たり前だなあ。
そうですね。そう思えたらしめたものです。
ただし、「DNAを合成する」も「分裂を行う」も、
細胞からしたら非常に重要な大仕事です。
ミスをすることが許されません。
ですので、この2つを行う前には・・・
ココケロくんあ、「なんとか準備期」ってのはもしかして・・
そう、準備が必要なのです。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/e6422c549ade81db439096d72db6e033.jpg)
DNA合成の前には「DNA合成準備」
分裂の前には「分裂準備」が必要です。
そして準備が終わったら、分裂をし、
また次の分裂のためのDNA合成準備をします。
したがって、この流れを1度きりで終わるのではなく、
ぐるぐると何度も繰り返し起こります。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/982b1b838b54c3df254aa06fc73d2dac.jpg)
これが「細胞周期」です。
分裂から次の分裂までの流れを示しています。
各段階には名前がつけられており、
「DNA合成準備期」
「DNA合成期」
「分裂準備期」
「分裂期」
です。
ココケロくんあれ?なんかあの、英語のやつは?
それは各期の英名の頭文字です。
「DNA合成準備期」→「G1期」(Gap1期)
「DNA合成期」→「S期」(Synthesis期)
「分裂準備期」→「G2期」(Gap2期)
「分裂期」→「M期」(Mitosis期)
となっています。
ココケロくんこれは覚えるの・・・?
英名を覚える必要はありませんが、頭文字と日本語は覚える必要があります。
Mitosisは覚える必要がないですが、
「分裂期」を「M期」というは覚えていないといけません。
ただ、このなかで「Gap」だけは覚えておくと得をします。
Gapは「隔たり」という意味を持つ単語であり、
Gap1は1つめの隔たり
つまり「合成を行う前の時間的な隔たり」を意味します。
Gap2は2つめの隔たり
これは「分裂を行う前の時間的な隔たり」です。
合成→分裂という流れを頭にいれておけば、どっちがG1でどっちがG2かもわかるのではないでしょうか。
細胞周期の考え方
以上から、細胞周期は以下のように表現されます。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/d7efcdbebfa0ab3217e181ccfe3926d9.jpg)
実際に細胞周期のなかで「分裂」をおこなっているのは「分裂期」のみであり、
それ以外の「DNA合成準備期(G1期)」「DNA合成期(S期)」
「分裂準備期(G2期)」は分裂を行なっていないため「間期」といいます。
ココケロくんあ、細胞周期の4つのうち、ほとんどは間期なんだ。
そうです。したがって、間期は分裂期よりも時間的にも長いです。
また、分裂期はこちらで学んだように、
「前期・中期・後期・終期」とわけることができますね。
細胞周期のグラフ
続いて、皆さんもよく見たことがあるであろう、こちらのグラフを紹介します。
縦軸は「細胞1個あたりのDNA量(相対値)」
横軸に「各期」をとります。
ココケロくん相対値って?
「実際の値ではなく、比べてどうかという値」という意味です。
もしこれが相対値でなければ、実際のDNA量を、例えば「何g」とか書かないといけません。
しかし、相対値であれば、
比べて「2倍」とか、比べて「半分」とかで処理できます。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/ad748480f1e5c7030512124ce4a8751f.jpg)
グラフはこのようにDNA量が変動しますが、
着目すべきは3つです。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/578b81218a5d725eb620e43a17193385.jpg)
まずはここ、S期(DNA合成期)です。
名前の通り、DNAが2倍に合成される時期なので、
S期(DNA合成期)の始まりと終わりを比べると、
DNAの量は2倍となります。
ココケロくんS期にDNAがじわじわと合成されていってるってことだね。
そうです。
続いて、G1期(DNA合成準備期)とG2期(分裂準備期)です。
ともに準備期であり実際にDNAを合成したり分裂したりはしていません。
したがって、ここにDNA量の変動は起きません。
最後にM期(分裂期)の中でも終期の終わりです。
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/f4471da79e1f1eedae0352c2df1ecf8f.jpg)
ここでいきなりDNA量が落ちますね。
ココケロくんなんでS期みたいに斜めの線にならないの?
それは縦軸が細胞1個あたりだからなんです。
終期が終わるまで、細胞の中には2倍の染色体(2個ぶんの核)が存在しています。
終期になり、動物細胞であればくびれて、ちぎれた瞬間2つの細胞になり、
細胞1個に核1個の状況がうまれます。
したがって終期の最後(2つの細胞になるとき)に、
がくんと細胞1個あたりのDNA量は半減します。
「細胞周期の各期」の時間の計算
こちらをご覧ください。
ココケロくん長いからたくさんいるってこと?あ、渋滞に引っかかってるてきな?
ココミちゃんまあ、そんな感じかなあ。あとは、ディズニーランドで時間のかかるアトラクションには人がたくさん並ぶ、みたいな。
ココケロくんなるほど!時間がかかる場所には細胞がたくさんいる!
ココミちゃん逆に言うと「細胞がたくさんいるところは時間がかかる」ともいえるわ。
そういうことです。
したがって、細胞数の割合と時間の割合は等しいものとして計算します。
[問題]
分裂組織にみられる、様々な段階の細胞数を以下に示す。
すべての細胞の細胞周期が等しく20時間だとすると、間期の長さは何時間か求めよ。
間期:324個
分裂前期:22個
分裂中期:4個
分裂後期:3個
分裂終期:7個
![](http://kokomiro-seibutu.com/wp-content/uploads/2018/12/1ee2fdf3a31c56732335d91a8e713904.jpg)
以上。よく出題される細胞周期の問題ですが、
体細胞分裂からしっかり理解しましょう。