【生物基礎】適応免疫(獲得免疫)を解説

ココケロくん
うおー!やっぱりよくわかんねー!
ココミちゃん
ちょっと。必ずそういう感じから入るのやめてよ。
ココケロくん
いやー、毎度毎度ごめんね。前回の自然免疫はわかった気がするんだけど、次の適応免疫?が教科書と資料集見てもぐちゃぐちゃでよくわかんなくてなあ
ココミちゃん
あ~、まあそれはわからなくもないかも。ココケロくん、適応免疫に2種類あるのは知ってる?
 
ココケロくん
え?あ、あれだ、細胞性免疫と体液性免疫。
ココミちゃん
そうね。実際はその2つは「適応免疫に限定される概念ではない」のだけど、とにかく2つある以上、わけて考えてみましょ。
まずは細胞性免疫からです。前回の自然免疫に登場した食細胞である「樹状細胞」。
彼はあまり攻撃能力は高くないのですが、食作用で取り込んだ異物(抗原)の断片を「提示する能力」に優れています。
樹状細胞は異物に出会うとリンパ節に向かい、「抗原提示」を行います。
提示された抗原は、ヘルパーT細胞とキラーT細胞というリンパ球が認識します。
リンパ節にて、提示された抗原の「担当者」が存在した場合、適応免疫のスタートとなります。
ココケロくん
担当者が存在した場合?存在しない場合もあるってこと?
ココミちゃん
良い質問ね。適応免疫は自然免疫と違って「相手に効果抜群の攻撃を選択する」の。例えば水タイプの敵が来たのなら、電気タイプで戦うべきよね。キラーT細胞もヘルパーT細胞も、自分の担当に出会うまで、各リンパ節をぐるぐるとパトロールしてるのよ。もし担当者が席を外していた場合、ちょっと待たないといけないかもね
抗原提示を受けた(担当者の)ヘルパーT細胞は、活性化して増殖し、各免疫系を活性化させます。
例えば食細胞のマクロファージや好中球の食作用を活性化させます。
同様に、抗原提示を受けた(担当者の)キラーT細胞も活性化して増殖し、感染した細胞を直接攻撃して排除します。
細胞膜の中に入り込んでしまった抗原だけを排除するのは困難なため、「細胞もろとも排除する」のです。
ゆえに、「細胞性免疫」と呼ばれています。
続いて、体液性免疫です。
細胞性免疫も体液性免疫も適応免疫の1種なので、スタートは同様に「抗原提示」から始まります。
ココケロくん
なるほどなあ。細胞性免疫はキラーT細胞とヘルパーT細胞が抗原提示を受け取ってスタート。体液性免疫はB細胞とヘルパーT細胞が抗原提示を受け取ってスタート。ってわけだ。
ココミちゃん
違うわ
ココケロくん
違うの!?
ココミちゃん
よく見て。B細胞の挙動を。彼は抗原提示を受けてるからしら・・・?
体液性免疫において抗原提示を受けるのは「ヘルパーT細胞」です。
すなわち、細胞性免疫においても、体液性免疫においても、抗原提示を受けるのは「T細胞」だということになります。
では、B細胞は何をしているのでしょうか。
彼は体内を循環しているときに様々なものを「拾って」きます。
その「拾い物」のなかには攻撃する必要のない自己成分が含まれていたりします。
もしそれに攻撃を開始してしまうと、免疫システムは自分を攻撃することになってしまい、大変危険です。ですから・・
ココケロくん
ちゃんとわかっている人に確認してもらわないといけない?
そうです。ですので、緑で囲った枠内です。
抗原提示を受けたヘルパーT細胞に、B細胞は攻撃対象かどうかの確認をしています。
攻撃許可がおりれば、B細胞は形質細胞(抗体産生細胞)に分化し、抗体という飛び道具を放ちます。
この飛び道具は体液を利用した遠距離攻撃です。ゆえにこれは「体液性免疫」と呼ばれています。
抗体はY字型をしていて、ノートのように抗原をひと固まりにすることができます。
すると、食細胞の食作用を受けやすいという効果があります。
ココケロくん
焼き鳥が串でひとまとまりだから食べやすい、みたいな?
ココミちゃん
んー、どうだろう・・。最近は串から外す人も多いから、例えとしてはあんまり・・・。
ちなみに抗体は免疫グロブリンというタンパク質です。
分子量の大きいタンパク質は細胞膜を通過することができません。
したがって、細胞の中に侵入した異物に対しては、体液性免疫では対処できないのです。
ココケロくん
なるほどなあ。面白いなー。たしかにストーリーだ。でもさ、「担当者が決まっている」って、この世の全ての異物に担当者が決まっているの?あとなんで、T細胞は抗原提示を受けることができて、B細胞はだめなの?
ココミちゃん
うん。それはね、T細胞の誕生の由来に秘密があるわ。彼の名前、「T」って何から来てるのかしらね?
ココケロくん
T・・・。あ、「提示」のTじゃない?TEIZIのT。
ココミちゃん
なんで日本語だと思ったの・・。面白いけど、違うわ。じゃあ次回はその部分を見てましょう。
ココケロくん
次回もたのしみだな~