【生物基礎】ミクロメーターの計算を解説
光学顕微鏡を用いて、接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターを使用し、細胞の大きさを測定する。
接眼レンズ内に接眼ミクロメーターを入れ、ある倍率で対物ミクロメーターを観察したところ、
図の(a)のように観察された。
ただし、対物ミクロメーターの1目盛りの長さは1mmを100等分したものである。
(1)対物ミクロメーターの1目盛りの長さは何μmか答えよ。
(2)図の(a)から、この倍率での接眼ミクロメーター1目盛りの長さは何μmか答えよ。
(3)同じ倍率で細胞を観察したところ、図の(b)のような像が見られた。この細胞の長径は何μm か答えよ。
ココケロくんミクロメーターの公式覚えたぞ!えーと、あれ?対物ミクロメーターの目盛りと、接眼の・・。どっちが分母だっけ?
ココミちゃん今回の話を最後まで読めば、二度と間違わないわよ。
ココケロくん「二度と」?随分な自信だなあ・・どれどれ。
解説動画もできちゃいました
対物ミクロメーターと接眼ミクロメーター
対物ミクロメーターと接眼ミクロメーター、どちらも共に「ミクロメーター」という名前がついている。
メーターとは「物差し」のことであり、ミクロとはそのまま「小さいこと」を意味する。
したがって、ミクロメーターとは小さいものを図る物差しである。
ただし、通常の物差しは一本で長さを測るのに対し、
ミクロメーターは接眼と対物を組み合わせる。
何故組み合わせねばならないのか?が理解のポイントである。
まず、接眼ミクロメーターと対物ミクロメーターは、顕微鏡へのセットの位置が異なる。
名前の通り、接眼ミクロメーターは接眼レンズの部分、対物ミクロメーターは対物レンズの下にセットする。
結果として、接眼ミクロメーターは常に視野の中に見える状態となり、
対物ミクロメーターは通常のプレパラートと同様に、ピントを合わせないと視野の中には出てこない。
(対物ミクロメーターの形状自体が、プレパラートとそっくりである)
ミクロメーターの1目盛りの長さ
さて、長さを測るためには1目盛りの長さがわからないといけない。
これは当たり前である。
我々が通常用いる「定規」というものは、おそらく1目盛りの長さが「1mm」であろう。
では、ミクロメーターの1目盛りの長さはどれくらいなのだろう?
実は、「片方は決まっていて、片方は決まっていない」
まさにここがミクロメーターの最大のポイントであり、最大の躓きポイントでもある。
最終的にはこれこそが「ミクロメーターは2つを組み合わせなければならない理由」となるのだが、
1つずつ丁寧に見ていくこととする。
対物ミクロメーター1目盛りの長さ
対物ミクロメーターには「1mmを100等分した目盛り」がついている。
つまり、対物ミクロメーターの1目盛りの長さは最初から決まっている。
1mmを1/1000にしたものが1μmなので、
1mmが100等分(つまり、1/100)の場合は10μmである。
したがって、対物ミクロメーターの1目盛りの長さは10μmである、と言える。
なお、この数値は覚えてしまっていいと思う。
ちなみに、μは「マイクロ」、nは「ナノ」、pは「ピコ」と読む。
接眼ミクロメーターの1目盛りの長さ
ということは「接眼ミクロメーターの1目盛りの長さ」は決まっていない、ということだ。
「何故なのか」
それは、接眼ミクロメーターを取り付ける場所に秘密がある。
接眼ミクロメーターは視野のなかに「常に同じ状態で見える」
倍率を上げようと下げようと関係ない。
ということは「同じように見えている1目盛り」が「実は倍率ごとに異なっている」ということであり
倍率を変更するたびにその1目盛りの長さは、計算して求めなければならない。
さて、では求め方だがじつは非常に簡単だ。
今回の問題を使用する。簡単に手順を説明すると
①対物ミクロメーターと接眼ミクロメーターの目盛りが一致している箇所を2つ探す。
②対物ミクロメーターは1目盛りが10μmなので、そこからその場所の長さを求める。
③接眼ミクロメーターの目盛り数でその長さを割る。
という3つになる。
大切で重要な公式
さて、ミクロメーターの計算は上記のものができればそれで良いのだが、
「公式」というものがある。
大切で重要な公式、とこれを呼ぶ。
今回で言えば、一致している箇所での目盛り数が、「対物は4目盛り」「接眼は5目盛り」なので、
4/5 × 10 =8(μm)
となる。
大切で重要な公式、と覚えておけば、どっちが分母か?で迷うこともなく、
最後に10をかけることも落とすことはない。
さて、本問だが、(1)は10μm (2)は8μmである。
(3)は細胞が8目盛りぶんあるので、8μm × 8目盛り = 64μmである。
さて、起こりがちな疑問として次のものがある。
対物ミクロメーターの上に観察物を乗せて直接長さを測ってはどうだろう?
要するに、めんどくさいことはやめて、対物ミクロメーターの上にそのまま乗せればいいじゃないか、ということである。
対物ミクロメーターは1目盛りの長さが最初からわかっているし、プレパラートみたいなものなのだから、意見としては真っ当である。
では、これができない理由をみていく。
以上の理由から、観察する際には接眼ミクロメーターを使用する。