2019年 センター生物 解説

ココケロくん
センター生物終わった・・・
ココミちゃん
お疲れ様。ほっと一息入れている時間はないわよ。
ココケロくん
次は2次試験!何をすればいいんだろう?
ココミちゃん
まずはセンター生物の解き直しね。似たような問題や同じテーマが2次試験で出ることも珍しくないわ。

目次

第1問

【第1問】

実験1はヒルの実験、実験2はルーベンの実験、実験3はカルビンの実験である。
光合成の古典的研究のセット。

問1

①空気が除かれていると当然二酸化炭素は存在しないため、
発生した酸素は二酸化炭素に由来しないことはわかる。
この時点では「水に由来」することまではわからない。
だから実験2があるともいえる。

②シュウ酸鉄がある→シュウ酸鉄は還元されて酸素が発生

    シュウ酸鉄がない→酸素が発生しない

と書いてあるため、還元される物質(この場合はシュウ酸鉄)が必要であることがわかる。

すなわち電子の受け取り手が必要であるということを言っている。
本来この電子の受け取り手はNADPであるが、

空気を抜くことで二酸化炭素が存在しなくなり、

カルビンベンソン回路が止まってしまう。

NADPHはNADPに戻れなくなり、NADPは枯渇した状態となっているため、
他に電子の受け取り手が必要だということである。

③水のOを標識した結果、発生する酸素も同じ割合で標識されていたことから、
光合成で発生する酸素は水由来であることがわかる。

④実験2では二酸化炭素から有機物合成をする実験は行っていない。

発生する酸素は二酸化炭素由来ではないことが分かるだけであって、
二酸化炭素が何に使われているかはわかりません。→不適当

⑤二酸化炭素は何に使われるのか?を示した実験の一部が実験3。
Cは炭素3個からなる化合物に取り込まれていることがわかる。
この炭素3個の化合物とはPGA(ホスホグリセリン酸)のことであろう。

⑥温度変化の実験は行っていない。
たしかに温度によって影響は受けるが、この実験からそれは判断できないのである。→不適当

問2

アがチラコイドでイがストロマなのは良いでしょう。
吸収スペクトルとは、光の波長と吸収の関係を表しており、作用スペクトルとは、光の波長と光合成速度の関係を示している。

「クロロフィルの吸収スペクトル(何色を吸収しているか)」と「光合成の作用スペクトル(何色で光合成は進むか)」がほぼ同じ形となることから、
光合成に使用される光エネルギーは主にクロロフィルによって吸収されていることがわかる、ということである。よって、③。

問3

核、葉緑体、ミトコンドリアは二重膜である。というだけの問題。③.

問4

①チャネルは受動輸送である。

②ナトリウムポンプはナトリウムイオンを細胞外へ、カリウムイオンを細胞内に能動輸送をする。

③ナトリウムイオンはナトリウムチャネルを通過する。→正解

④使用するのはATPのエネルギーである。

⑤アクアポリンは水チャネルである。

問5

濃度が高いほど浸透圧は高い。浸透圧が高いほど水を引っ張る力が強い。

水が引っ張られる(細胞内の水がなくなり細胞が収縮する)順番に並べると、

g(収縮)>f(変化なし)>h(膨張←逆に水が入ってきている)>e(膨張しすぎて破裂)

となるので、正解は⑤.

第2問

「三毛猫のライオニゼーション(X染色体不活性化)」というテーマである
二次試験対策用に演習の経験がある受験生は即答レベルの問題であったが、
初見の受験生は文章の読解と整理に時間がかかったかもしれない。

三毛猫はそのほぼ全てが雌であり、三毛模様も個体によって異なる。
その理由がライオニゼーションである。

なお、雄の三毛猫が存在した場合、性染色体は「XXY」という染色体異常を起こしている。

問1

茶と黒の遺伝子はX染色体にあるため、雌は「XX」雄は「XY」でわけて考える。
すなわち「伴性遺伝」の問題である。ここに常染色体の「白」の遺伝子が加わるとやや複雑になるが、
今回は「茶と黒の両方を持つもの」という指定なので、白は考慮しなくて良い。

問2

XXの染色体構成の場合、X染色体の遺伝子がだぶることになる。
XYと比べると遺伝子から作られる産物が過剰になるため、
X染色体のどちらか片方をランダムに不活性化している。

三毛猫はランダムに不活性化するX染色体に、体色の遺伝子が含まれているため、

体のどの部分にどの色が発現するかもランダムになる。

この問題は初見の受験生は悩むだろうが、演習経験があれば即答できたと思われる。

問3

図2より、葉肉細胞にて遺伝子Aは転写されている(発現している)ことがわかる。
図3より、遺伝子Aが転写・翻訳されてできたポリペプチドAは気孔密度を増やしていることがわかる。
よって③.

問4

ポリペプチドBがないと気孔密度が急増しているため、
ポリペプチドBの作用は気孔密度の増加を抑制することだとわかる。
気孔密度を増加させるのはポリペプチドAなので、
ポリペプチドBはポリペプチドAを抑制していることがわかる。

問5

非常に基本的なただの知識問題。②.

第3問

問1

知識からでも、文脈からでもいけます。正解は⑦.

問2

これもよく言われる話ですね。
生物の先生が授業で雑談レベルでよくする話です。

星を直視してしまうと、黄斑に像が結ばれます。
黄斑には錐体細胞が多く分布しており、弱い光では反応できない。

よって、星は視線の中心からずらして眺めることで、桿体細胞が多い黄斑の周囲に像を結ばせる方が良い。
桿体細胞は色の識別はできないが、弱い光でも反応できるためですね。

問3

この問題を間違ってしまった二次試験受験生は、
「視交叉の問題」を確認しておくこと。
同じ誤りを繰り返す可能性があります。

問4

文章がやたらと長いですが、聞いていることは単純です。
本問のように「地上部」と「地下部」にわけてそれぞれの働きをみる実験は、
わりとよく見るので、ここで慣れておくと良いでしょう。

第4問

問1

この図1のグラフは成長曲線である。
通常教科書では成長曲線はS字であらわされるが、この曲線もこのまま年数を重ねていくと、
密度効果によりS字となるはずである。

1988年から1990年の間に最も個体数が増えているので、たくさん生まれていることがわかる。

したがって年齢ピラミッドは若い個体が多い「幼若型」であり、
個体数が増加していくことが予想される。正解は①.

問2

知識でもいけます。
縄張りも群れも、大きくすることで「メリット」も「デメリット」もあります。
たとえばデメリットとしては、餌を見つけても自分の取り分が減ったり、
種内間で争いが起こりやすくなったりするわけです。

メリットが大きい場合に縄張りも群れも発達します。

①群れを大きくすると、捕食者を見つけやすくなり対策がとりやすいので捕食されにくくなります。

②上記の理由からこれが正解です。

③上記の理由からこれは不適です。
また、これを正解とするとオオカミのいない地域よりもいる地域の方が、
季節に関わらず群れの個体数が多い理由が説明できなくなります。

④オオカミがいる地域でもいない地域でも、季節Yにおいて構成個体数が増えているため、
群れを大きくすると餌を見つけやすくなることが分かります。

⑤⑥上記より不適

⑦上記よりこれが正解です。

問3

データと選択肢を丁寧にあわせていくだけの問題です。
正しいことを言っているのは①と③

第5問

問1

分類の階層は「界→門→綱→目→科→属→種」であり、
この階層順に並んでいるのは④.

問2

3ドメイン説で重要なことは「真核生物」と近縁なのは「古細菌」であるという点である。

さらに図1の破線は葉緑体もしくはミトコンドリアの共生によって生じた系統関係を表しているため、
ドメインAが古細菌、Bが真核生物、Cが細菌となる。

ミトコンドリアはもともと「好気性細菌」だったものが共生して細胞小器官となっている。
よって②.

問3

ドメインA(古細菌)がメタン菌なのは良いと思います。

ドメインB(真核生物)に当てはまるものがたくさんいて迷いますが、
オには共生を示す破線がついています。

さらに、シアノバクテリア(のちの葉緑体)よりも好気性細菌(のちのミトコンドリア)の方が先に共生したと考えられているため
、オの直前の破線はシアノバクテリアの共生を示しています。

よってオの生物は葉緑体を持つ真核生物であり、該当するのは⑨のゼニゴケのみになります。

問4

地質時代は必ず出ると思っていた方が良いでしょう。
カンブリア紀に多くの系統が出現したことを、「カンブリア大爆発」と呼んだりもしますね。

キが脊椎動物なのはわかるはずです。
クですが、文章の最後に「陸上への進出を果たした」と書いてあります。
刺胞動物(クラゲ、イソギンチャク)は陸上に進出していないんですね。

したがってここは節足動物(昆虫等)が正解になります。
よって正解は③.

問5

①エディアカラ生物群は先カンブリア時代であり、
バージェス生物群のカンブリア紀よりも前になります。

この2つは形態も大きく異なり、エディアカラ生物群は硬い骨格や殻を持たず、軟体質で扁平な体を持っています。
一方バージェス動物群には硬い殻や捕獲のための触手・とげを持つものが出てきます。

このことから、エディアカラ生物群の時代には「食う・食われる」の関係はなかったが、
バージェス生物群の時代には「食う・食われる」の関係があったことが示唆されています。→よってこれが誤り

②古生代デボン紀には両生類が出現するので合っています。

③古生代石炭紀にはシダ植物が大森林を形成したので、合っています。

④中生代には爬虫類が発達し、恐竜類が繁栄したので合っています。

⑤中生代には裸子植物が繁栄しましたが、裸子植物は子房がなく胚珠がむきだしです。
しっかり読んでいないと読み飛ばすかもしれません。→誤りの選択肢

⑥新生代には霊長類が出現しました。

⑦新生代には被子植物や哺乳類が繁栄しました。

問6

陸上植物に最も近縁なのはシャジクモです。これは頻出知識問題です。

第6問

問1

アはメセルソンとスタールの半保存的複製の実験と考え方が同じ。
イは基本的な知識問題です。正解は④.

問2

RNAが5‘から3’に合成されるとあり、DNAは3‘から5’に読み取られると書いてある。

したがって、RNAの5‘側から見たときに開始コドンAUGがあればよく、
それはDNAを3’側からみたときの「TAC」に該当する。

この部分があるのはa鎖であるため、こちらが鋳型鎖となる。
開始コドンを見つけたら終始コドンまでアミノ酸を数えると6個あるため、
正解は①.

ただ、この問題、方向性を考慮せずにbを左から見てAUGを見つけ、
さらに「開始コドンもアミノ酸をコードする」ことを忘れていた場合でも①を選べる。

このようにして①を正答した受験生もいそうだが、それはちょっと危険だなあと思いました。

問3

基本的な知識問題。外来DNAが次代に渡されるのは、
そのDNAが生殖細胞に組み込まれていた場合のみである。

これは二次試験でそのまま記述させる問題もよくみられる。

第7問

問1

ハチは「ハエ幼虫を捕食したあと、虫こぶ内部の組織を食べて成長する」とあるため、
ハチは一次消費者でもあり、二次消費者でもある。
イとウは表1と表2を見比べるだけの素直な問題。正解は③.

 

問2

共進化で有名な例としては、スズメガの長い口器と、ランの長い管である。
これも同じ例なので正解は②となる。

 

問3

④が誤りであると判断する有名な例が、オオシモフリエダシャクの「工業暗化」でしょう。

工業化が進むことによって、木の幹が黒ずみ、暗色型の方が鳥に見つかりにくくなるため、暗色型の個体数が多くなっていく。

 

これはまさしく人間の活動によって起こった環境の変化による自然選択の例である。
よって④が誤りの選択肢。